オルタードって何?
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英語でオルタレーションという言葉は洋服のお直しのことで、体に合わせて調整するという意味。オルタード・ドミナントとは状況によって変化させるドミナント・コードとそのスケールのことである。
オルタード・ドミナント・コードを正しく理解する
ジャズを勉強するものがドミナント・コードで練習したオルタード・スケールや、どこかの学校が教える意味不明の、半音上からのメロディック・マイナースケール等を演奏するのを耳にするが、筆者はことごとくスケールでのインプロ練習に反対する。もしオルタード・ドミナントの実態をしっかりと理解すれば、かっこいいフレーズを演奏するのはいとも簡単なのである。
まずドミナント・コードとは何かを再確認
ドミナント・コードの定義
- ドミナントとは最も支配力が強いという意
- ドミナント・コードはトライトーンを含む
- トライトーンとは減5度/増4度の音程を形成する2つの音
- 中世ヨーロッパではトライトーンを悪魔の音程と呼んでおり、その理由はトライトーンの不快な響き
- トライトーンの不安定な響きは、主調に解決したいと思うように人間の耳に働きかける
ドミナント・コードのアヴォイド音
筆者のHiro’s Jazz Theoryで説明があったように、アヴォイド音の見つけ方は、スケール音をそれぞれのコードトーンの1オクターブ上で鳴らし(他の楽器で演奏された音はコードの1オクターブ上に聞こえるから)、そこにできた音程が長9度か短9度かで判断する。短9度の音程はそのコードの一体感を破壊し、コードの判別を不可能にするのでアヴォイド音となる。
ドミナント・コードの場合トライトーンの力が強力なので短9度の音程が聞こえてもドミナント機能は破壊されない。例外はトライトーンに対する短9度音だ。根音から完全4度音と長7度音だ。
例:G7に含まれるトライトーンはBとFだ。Cという音程はBに対して短9度で、F#という音程はFに対して短9度だ。この2つの音だけがG7を破壊することになるがそれ以外全ての音はトライトーンに影響しない。
テンション ♭9 と ♭13
テンション(以下 T )♭9 は根音に対して短9度、♭13 は5度に対して短9度の音程を形成するが、トライトーンのおかげでドミナント・コードの判別を破壊しない。
実際 T ♭9 は V of II、V of III、V of VI 時の調に準じる音であり、T ♭13 は V of III と V of VI 時の調に準じる音である(Hiro’s Jazz Theory 25ページ参照)
♭5 に関して
5度音はコードトーンの一つでありテンションではない。但し5度音はコードにとって重要ではない音だ。3度はコードのメジャー/マイナーを決め、7度はコードがメジャーかドミナントかを決め、根音は3度と7度を判断する基音だが、5度はなくてもコードの判別が可能。
言い換えれば、5度は重要でないので、必要ならオルター(変化)させて構わないのである。
♭5 と T #11 の違いを確実に理解する必要
♭5はオルター(変化)させる最後の音なので、9th や 13th がオルターされていないのに ♭5 のドミナント・コードなぞ存在しない。
それは ♭5 なのではなく異名同音の #11 であり、スケールはMixolydian #11(Lydian ♭7というよく分からない名前で教える学校もある)であると同時に、SubVの機能で現れているとインプロバイザーに指示することになる(Hiro’s Jazz Theory Book 16ページ参照)。実はこれがオルタードの発生の紀元に繋がる。
オルタード・ドミナントがどうしてできたかを理解する
オルタード・ドミナントはSubV(5度上のドミナントの代理)から発生したもので、理由は同じトライトーンを共有しているからだ(Hiro’s Jazz Theory Book 16ページ参照)。
例えば G7 のトライトーンは B(3度)と F(♭7度)で、同じトライトーンを持つドミナント・コードはただ一つ、D♭7、3度の F と ♭7度の C♭ (B)。つまりトライトーンが同じだから D♭7 は G7 の代理をすることができるという意味である。
ただしスケールは純Mixoではなく Mixo #11になる。なぜなら D♭ 純Mixoには代理する G が含まれておらず、Gを含むために#11にする必要があるからだ。もうお分かりと思うが、G7 上で D♭ Mixo #11スケールを演奏すれば、G オルタード・スケール、つまりG Mixo ♭9, ♭5, ♭13 が生まれるというわけだ。